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虹に電話
20071120(カ) 
コウモリと洞窟

 

こうもりを久しぶりに見る。
夕闇のなかをジグザグ飛んでいて、
子供のころ、コウモリをつかまえたことを思いだした。
僕の子どものころの思い出の場所のひとつに洞窟がある。

僕がいちばん小さくて、
兄と兄の友達のうしろにくっついて、
いつも遊んでもらっていた。
遊ぶ場所は普通に野山だった。
近所の山には火山岩のせいか小さな洞窟がいっぱいあって、
遊びのひとつに洞窟探検があり、
子供たちだけで探検をしていました。
今思うととても怖く、今では考えられない遊びだった。

その洞窟の入口は狭く、
子供が四つん這いでやっと入れるようなもので、
中は少し広かっように思う。
迷路ほどではなく、奥はそんなに深くはなかったが、
子供が5、6人入れるぐらいの余裕はあったんだろう。
兄たちは湿った壁を削って、そこに何本かロウソクをたて、
マッチで火をつけると、真っ暗な洞窟のなかが、
ぼんやり明るくなった。
そんな遊びをしながら、ある日コウモリを捕まえて、
家につれてかえったことがある。
誰かが、手でつかんで、持ち帰ったんだんだろうか?
帰り道、みんなはとても興奮していた。

家に帰ると父が鳥かごにいれてくれて、
夜に何度も鳥かごのなかのコウモリを見た。
でも次の日の朝に、
父に「わいそうだから、逃がしてあげなさい」といわれ、
みんなと鳥かごを持ってまた山の近くまで出かけた。
鳥かごから出してあげると、
コウモリはまっすぐ自分の家のほうへ飛んでいった。
まっすぐ、まっすぐ飛んでいったのを今でも憶えている。



もし自分の子供たちだけでそんな遊びをしていたら、
ニュースになっちゃうくらい、大騒ぎだと思う。
今思うと、とてもいい思い出だけれど、
一言で言うと、野性的だし、野蛮とも思える。
あのころの親って、のんきだったんだろうか?
流れが早く冷たい川で普通に泳いでいたし、
サカナも手づかみだったし、
弓矢をつくって戦争ごっこをやったし、
パチンコを作って鳥をねらっていたし、
まぁ、鳥にはあたっことはないけれど、
なんか、なんか、とてもワイルド。

野蛮の反対ってなんだろう?
バーチャルということかもしれない。

終日、ドビッシーの練習曲を聴く。
3時におやすみ。

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