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にじぞう と ニック・スミス
2006.12.8


 


第18回

   
※この映像は「niji-zou」の中から部分的に使用しています。
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前回の続き、ユニの鉛筆について少し触れたので、
ふと思い出したデッサンについての話を
少し書いてみようと思います。

ひらめいたイメージを形にするための
次の一歩は
まずスケッチブックに描いてみることで、
アイデアを目に見えるカタチにしていきます。

これには、美大の頃に授業でたくさん描かされた
デッサンの経験がとても役に立っていると思います。

これは今思い出してみてもなかなか楽しい授業で、
良い先生にあたったと思っているのですが、
「もっとこうして描け!」
「影をこうつけろ!」
なんていう、ナンセンス!な技術的な指導は全くなく、
例えばブロッコリーを描いたときは、
「このブロッコリーは食べられそうにないぞ」
と、言われたんですね。

つまり、食べれそうかそうではないか、、という
答えが返ってくる訳です。

そこで、うーん・・と悩んで、
確かにこれは不味そうだな、なんて思いながら
描き直していました。

見た目以上にパースをつけて立体感を出したり、
形を強調するために筆跡を強めに残したり・・・
極端に言えば、自分がこう見せたいという
ブロッコリーを、本物のブロッコリーを見つめながら
描きはじめた訳です。

今から思うと、この授業は、
見たままを写真のように正確に描く事ではなく、
いかに「その物」を、よりその物「らしく」描くか、が
大切なんだということを教えてくれたのだと思っています。

これは言い変えると、自分がその絵を通して、
見た人に何を伝えたいか、
ということも大切にしなければならないと言うことです。

つまり、ブロッコリーは僕のフィルターを通した
ブロッコリーになり、そこには少しのウソと、
良く言えばファンタジーが生まれる!?という感じです。

映像の仕事でも、このデッサンの時の教え(?)が
役立っていることは言うまでもないですね。

にじぞうの気分をどう伝えようかな?
と考えて、すごくリアルなにじぞうが見たいとは
思いませんから・・・まあ、想像すると面白いけど(笑)
というわけで、僕の持論ではありますが、
モノ作りには、ファンタジーが必要だ!と思います。

先日、夜空を見上げると、なんとも大きな三日月が!
にじぞうの鼻の上で、気持ち良さそうに寝ているみたいに
見えました。(林さんの絵にありますね)
僕の心の中には、確実ににじぞうが住み着いているようです。

では、寒くなりましたが
冬の夜空は空が高くて、最高ですね。
みなさまも風邪にはくれぐれも気を付けて。


続く



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